市場動向

湾岸マンション「10%値下げ」は賢い住まい探しのチャンス?金利上昇時代の適正価格

湾岸マンション「10%値下げ」は賢い住まい探しのチャンス?金利上昇時代の適正価格

湾岸マンション市場に変化の波が到来

ここ数年、特に人気が高かった港区や中央区、江東区の湾岸エリアのタワーマンションは、価格がぐんぐん上昇していました。国内外からの投資も活発で、住むためだけでなく、「もっと値上がりするだろう」という期待から購入する人も多かったようです。しかし、そんな市場にも変化の兆しが見え始めています。

在庫急増の背景にあるもの

2024年中盤頃から、高額帯の大型マンションを中心に、売り出し件数が一気に増えました。これは、「高く売れるうちに」と考える所有者の方が売却に動き出した一方で、その価格で買いたいという方が減ってきたことを意味します。つまり、価格は高いままでも、実際に取引が成立しにくくなっていたのです。

在庫が横ばいでも油断は禁物!「本当の市場価格」を見極める

最近では、中央区や江東区の湾岸エリアにおける中古マンションの在庫数の増加ペースが落ち着き、横ばい、あるいは少し減っているように見えます。

江東区の湾岸エリアにおける中古マンションの在庫推移を示す棒グラフ

このグラフだけを見ると、「市場が回復してきたのかな?」と感じるかもしれません。しかし、実はそう単純な話ではありません。市場の本当の姿を知るためには、成約時の「値下げ率」に注目することが大切です。

10%値下げが示す今の市場

2025年後半以降、湾岸エリアでは売主さん同士の価格競争が激しくなり、現在では平均して約10%の値下げを経て成約するケースが一般的になっています。これは、これまで強気だった売主さんも、価格を調整しなければなかなか売却できない状況になっていることを示しています。

湾岸エリア(中央区・江東区)における中古マンションの成約時までの値下げ率を示す折れ線グラフ

つまり、在庫が横ばいになったのは、急に需要が増えたからではなく、多くの売主さんが価格を大きく下げた結果、ようやく取引が成立するようになったためなのです。現在の湾岸エリアでは、売り出し価格から約10%値下げした価格帯が、今の市場で受け入れられる「実勢価格」になっていると考えられます。

金利上昇がマンション市場を変えた

このような変化が始まった大きな要因として、日本銀行によるゼロ金利政策の解除が挙げられます。2024年に政策金利が引き上げられ、「金利のある時代」へと移行しました。この金利上昇は、住宅ローン金利にも影響を与えます。

湾岸エリアのように1億円を超える高額マンションが多い市場では、借り入れ額が大きいため、わずかな金利上昇でも毎月の返済額や総返済額に大きな影響が出ます。その結果、これまで買えていた層の一部が市場から離れてしまう「実需層」(実際に住むために購入する人たち)の変化が起きています。

また、投資家の方々も金利上昇局面では慎重になります。借り入れコストが上がれば、マンションを貸した時の利益率(投資利回り)は下がり、将来の値上がり期待も小さくなるからです。これにより、これまで価格を押し上げてきた「投資需要」(投資目的で購入する人たち)も以前ほど積極的ではなくなっています。

10%の値下げはまだ序章かもしれません

日本銀行は今後も政策金利を段階的に引き上げる可能性があります。もし住宅ローン金利がさらに上昇すれば、購入できる層はさらに限られ、市場の動きは一段と鈍くなるかもしれません。

現在平均で約10%の値下げが行われていますが、これは今の金利環境に対応するための第一段階の価格調整と考えることもできます。仮に今後も金利上昇が続けば、市場が再び活発になるためには、現在以上の価格調整が必要になる可能性もきっとあるでしょう。

これからの住まい選びに大切なこと

今後の湾岸マンション市場を考える上で重要なのは、単純に価格が上がったか下がったかだけではありません。「どのくらい値下げすれば成約しているのか」「販売期間は短くなっているのか」「価格調整をせずに在庫が減っているのか」といった、「流動性」(市場での売買のしやすさ)の変化を確認することが、市場の本当の姿を把握する上で欠かせません。

これからのマンション市場では、「いくらで売り出されているか」だけでなく、「いくらで売れて、どれだけスムーズに取引されているか」が、その住まいの価値を判断する大切な指標となるでしょう。価格の高さだけで市場を評価する時代から、スムーズな取引ができるかどうかを重視して市場を分析する時代へと変化しつつあります。

賢い住まい探しのために

今回の調査結果は、湾岸エリアでのマンション購入を検討されている方にとって、新たな視点を与えてくれるものです。価格の調整局面は、もしかしたら賢く住まいを手に入れるチャンスかもしれません。ご自身のライフスタイルや予算に合った住まいを見つけるために、ぜひ積極的に情報収集を行い、専門家への相談も検討してみてはいかがでしょうか。

調査概要

  • 調査期間: 2023年1月~2026年6月

  • 調査機関: マンションリサーチ株式会社

  • 調査対象: 中央区・江東区の中古マンション

  • サンプル事例数: 106,877事例

  • 調査方法: 公開されている中古マンションの売出情報を収集し、統計処理を施して集計しました。