物件管理、顧客対応、営業スケジュールなど、業務ごとにクラウドサービスを契約するのは、いまの不動産会社では当たり前になりました。その一方で、毎月の利用料が積み重なり、全体でいくら払っているのか把握しきれていないという声も聞かれます。株式会社中央構想研究所(東京都品川区)は、こうした課題に向けて「AI内製によるSaaS費削減戦略の最前線レポート」不動産業界向け 2026年10月版(全23ページ)を無料で公開しました。

クラウド利用が進む不動産業、増えていくのは「月額の固定費」
総務省の令和7年通信利用動向調査では、従業員100人以上の不動産業の企業のうち90.9%がクラウドを利用しています。物件情報、入居者や購入希望者の情報、営業担当の予定と、扱う情報の種類ごとにサービスを導入していけば、契約の数も自然と増えていきます。
さらに、不動産業は顧客の個人情報を数多く預かる業種です。個人情報保護委員会の令和7年度年次報告によると、2025年度に同委員会が処理した漏えい等の報告は全業種で17,139件にのぼりました。情報を守るための仕組みも月々の契約として続くため、管理部門にとっては見過ごせないコストになっています。

生成AIの普及で、「自社で作る」選択肢が身近に
レポートが注目しているのは、業務ツールを自社で開発する環境がここ1〜2年で大きく変わった点です。IPAの「DX動向2026」によると、生成AIを導入している企業は2024年度の22.6%から、2025年度には44.0%まで増えました。
ただし、日本企業の内製化はまだ進んでいません。IPAの「DX動向2025」の日米独比較では、必要な部分を内製化済みと回答した日本企業は16.7%にとどまり、米国の37.1%、ドイツの36.5%を大きく下回っています。自社の強みに直結しない業務ほど、パッケージソフトやSaaSに頼ってきたことも背景にあるとされます。
そこへ登場したのが、指示に沿ってプログラムを書くAIです。毎月払い続けているSaaSのうち、業務に欠かせない機能はどれか、作り直せる部分はどこか。物件と顧客の情報を多く扱う不動産業こそ、一度棚卸しをしておく価値があるというのがレポートの問題提起です。
レポートの構成と想定読者
レポートは不動産会社の経営者や管理部門の担当者を対象にしており、次の4章で構成されています。
- SaaS費が膨らむ構造
- AIで内製が1ヶ月に
- 不動産業で内製しやすい業務
- 内製の見極めと手順
SaaSの契約が積み重なっていく仕組みと、AIを使った内製を検討する際の着眼点に加え、AIによる内製がどこまで現実的になったのか、不動産業で候補になりやすい業務は何かを解説しています。契約中のサービスの全体像をつかみたい方や、SaaS費の見直しとAI活用をあわせて考えたい方にとって、検討の手がかりになりそうです。
なお、同社は企業が契約しているSaaSや業務ツールを対象に、AIを使った自社向けツールへの置き換えを行う「AI内製支援」を手がけています。2026年創業のスタートアップで、コスト最適化、プラットフォーム事業、AI営業支援を主な事業としています。
出典:株式会社中央構想研究所