古民家が「本物の物語」を紡ぐ住まいへ!島根で学ぶ、古材活用の循環型建築
忘れ去られゆく古民家に新たな命を吹き込む「部分移築」
全国で空き家問題が深刻化する中、特に島根県では古民家の割合が全国1位という現状があります。かつての暮らしを支えた良質な古材や手仕事の痕跡が、取り壊しと共に廃棄物として失われつつあります。
しかし、こうした「問題」として捉えられがちな空き家を、地域に蓄積された大切な「資源」と見なし、未来へと引き継ぐ画期的な取り組みが、島根県松江市の株式会社エブリプランが手掛ける「解く(TOKU)」事業です。
出雲市大社町鷺浦にある一棟貸し宿「輪島屋(わじまや)」では、解体される空き家から古材などの建材を救出し、新しい建物の一部として再利用する「部分移築」という手法を用いて改修が進められています。この循環型建築の実践を体感できる内覧会が、2026年9月26日(土)から10月2日(金)まで、予約制で開催されます。

「部分移築」が生み出す、本物のストーリーを持つ空間
「部分移築」とは、解体される建物から良質な古材や建具などを傷つけずに取り出し、別の建物へと移し替えて再利用する工法です。輪島屋の改修では、島根県江津市の空き家2棟を手作業で解体し、瓦や建具、天井ユニットなど数多くの古材を輪島屋へと部分移築しました。
この取り組みは、「空き家と空き家のドッキング」とも呼ばれ、明治、昭和初期、そして現代の建材が一つの空間に共存するという、新旧の重なりがそのまま空間の魅力となっています。古材には、その場所で重ねてきた時間の記憶が宿り、新品の建材では決して再現できない「本物の質感」と「物語」を住まいに与えてくれるでしょう。

改修を主導するのは、鷺浦を拠点に活動する作り手、ワイルズ一(はじめ)氏です。彼は出雲市に生まれ、アメリカでデザインと木工を学び、帰郷後は伝統技術と融合した空間づくりを実践しています。故郷を一度離れたからこそ見えた地元の文化の価値を、建物の更新という形で次の世代に手渡そうとしています。

ワイルズ氏は「育った環境から受けた影響を素直に形にして、更新を続けていく、その先に『本物』が生まれます。完成した建物より、つくっているさなかのほうが、きっと面白いはずです。」と語っています。
輪島屋にみる、古材活用の具体的な魅力
輪島屋の改修で特に注目されるのは、日本海を望む個室風呂です。解体した住宅の風呂の天井(からかさ天井:寄棟状に板張りが施され、中央に煙出しがある伝統的な天井)を、ほぼ同じ意匠で部分移築しました。屋根瓦は切り出して床タイルに、古材は建具へと姿を変えるなど、素材の転用が随所に凝らされています。



古民家の太い梁や手仕事の建具が作り出す空間は、それ自体が住まいのストーリーとなり、新品の内装では再現できない時間の厚みを感じさせてくれるでしょう。
完成前の内覧会で「本物の情報」に触れる
この内覧会は、あえて完成前の工事中に開催されます。それは、改修の過程こそが、古材の活かし方や手仕事の質、空間づくりの考え方を伝える最もリアルな場だからです。実際に現場を見ることで、古民家を事業空間や住まいとして活用する具体的なイメージが湧くことでしょう。
当日ご覧いただけるものとして、以下の点が挙げられています。
-
「昭和の内装剥がし」の現場:壁紙や石膏ボードなど、昭和以降に貼り重ねられた内装を剥がすと、その下から古い屋根の裏側や太い躯体(建物の骨組み)が現れます。この「時間の地層」をめくる工程を、実際の現場で体験できます。
-
再活用する古材の見学:解体材から選定された床材や欅(けやき)の薄板など、これから空間に組み込まれる材料を手に取って見学できます。
-
質の違いの体感:新建材と、時間を経た木材・土壁の質感の違いを、同じ空間の中で比較し、確かめることができます。

プロジェクトリーダーの守山基樹氏は、「工事の途中を見ていただくことで、古民家を事業空間として活用する具体的なイメージを持ち帰っていただけると思っています。」とコメントしています。

古民家が叶える、あなただけの豊かな暮らし
輪島屋の事例は一棟貸し宿ですが、古民家や土蔵の空間は、飲食店、小売店、サロンといった店舗空間だけでなく、一般の住まいとしても無限の可能性を秘めています。
-
住まい: 古材の温もりや歴史を感じる住まいは、日々の暮らしに深みと安らぎを与えてくれます。太い梁や手仕事の建具は、それ自体がアート作品のようです。
-
宿泊: 輪島屋のように、水回りまで古材で仕上げることで、非日常的な滞在体験を提供できます。
-
店舗: 古材の梁や建具が生み出す内装は、訪れる人に「この店にしかない」特別な体験を提供します。箪笥の表面板を腰壁に、瓦を床タイルに、といった素材の転用は、そのままお店の物語になります。


新築では味わえない、古民家ならではの魅力を活かした住まいづくりやリノベーションは、きっとあなたの暮らしをより豊かにしてくれるでしょう。
内覧会 開催概要
古民家活用の可能性に触れたい方は、ぜひこの機会に内覧会に参加してみてはいかがでしょうか。
-
期間:2026年9月26日(土)〜10月2日(金)
- 朝の部(9-12時)/昼の部(13-16時)/夕の部(16時以降)
-
方式:予約制。期間中のご希望日時をご予約ください。作り手が現場を案内します。
-
会場:輪島屋(〒699-0761 島根県出雲市大社町鷺浦16)
-
対象:飲食・宿泊・小売・美容など店舗空間を考える事業者、建築設計者
- ※一般の住まいづくりを検討されている方も、古民家活用のヒントを得る良い機会となるでしょう。
-
主催:株式会社エブリプラン 古民家再価値化事業「解く(TOKU)」
-
参加費:無料(要事前申込)
-
申込方法:下記フォームから事前予約(希望日時をお知らせください。担当者から確定の連絡があります)
関連情報
-
輪島屋 公式サイト:https://wajimaya.com/
-
「解く」公式サイト:https://toku-akiya-introduction.com/
-
「解く」Instagram:https://www.instagram.com/kozai.toku/
-
「解く」note:https://note.com/toku_akiya
-
株式会社エブリプラン公式サイト:https://www.everyplan.co.jp/
-
株式会社エブリプラン公式note:https://note.com/everyplan


