リノベーションを選ぶ3つのケースとメリット・デメリット
リノベーションを選択する理由は人それぞれです。既存の構造躯体(建物の骨組みとなる柱や梁、基礎などの主要構造部分)や素材を活かした個性的な空間にしたい場合や、建て替えを希望しつつも条件的に難しくリノベーションを選択するケースなどがあります。ここでは、代表的な3つのケースとそれぞれのメリット・デメリットをご紹介します。
ケース1:そもそも建て替え(新築)ができない「再建築不可」
「道路に接していないと新築ができない?」
建築基準法では、幅員(道路の幅)が4m以上の道路に対して2m以上接している敷地が、建築(新築)をする上での条件とされています。つまり、前面道路が4m未満であったり、接している面が2m未満の場合、原則として建築ができません。この状態を「再建築不可」と呼びます。

現在の家が建っている敷地がこの条件に当てはまる場合、建て替えることは原則できないため、リノベーションという選択肢が浮上します。
【デメリット】
-
現在の家が崩れたとき(滅失したとき)に、建て替えができない
-
住宅ローンの利用が難しい(担保評価が出にくい)
【メリット】
-
固定資産税が建築可能な土地よりも低い
-
土地が安く買える(ただし、ローンが組めないケースが多い)
-
将来、建築できる可能性があり、その際は資産価値が上がる
再建築不可の土地はデメリットばかりではありません。将来性のある土地であれば、リノベーションで新築と変わらない快適性や耐震性を得て、安心して暮らすことができます。
ケース2:建て替えると、今よりも家が小さくなってしまう
「再建築不可から建築可能になるセットバック」
ケース1で触れたように、前面道路の幅員が4m未満の場合、原則として再建築はできません。しかし、道路と敷地の境界線を後退させて建築計画をすることで、道路の幅員を4mとみなし、新築を建てることが可能になる場合があります。この道路境界線の後退を「セットバック」といいます。
セットバックは、道路中心線から2mずつ後退するのが一般的です。例えば、現状の幅員が2mしかない道路の場合、片側の土地が1m下がり、もう一方の土地が1m下がることで、合計4mの道路が完成します。

セットバックによって再建築が可能になる一方で、新たな問題が生じることもあります。それは「建ぺい率」による建築面積の制限です。建ぺい率とは、敷地面積に対する建築面積の上限(割合)のことで、地域ごとに定められています。
例えば、100㎡の敷地に対して建ぺい率50%という条件の場合、建築可能面積は50㎡です。もし現状70㎡の建物が建っていたとすると、単純計算で20㎡分が狭くなります。そこで、狭くなることを回避するためにリノベーションを選択するケースがあります。
【メリット】
- 既存住宅を利用するため、基礎や木材の材料費が抑えられる
【デメリット】
-
基礎コンクリートの劣化(補強に費用がかかることがある)
-
築年数によっては基礎に鉄筋が入っていないことも
-
住宅ローンが利用できないケースもあり
既存住宅の建築面積、セットバックの可否、そして今後の暮らし方など、さまざまな要素を考慮した上で、どのような選択が最適か検討することが大切です。
ケース3:家族構成が変わって、部屋が余ってしまった「減築」
新築時は4人や5人で暮らしていたご家族も、お子さまが独立してご夫婦二人だけになると、部屋が余ってしまうという悩みを抱えることがあります。二人暮らしのために建て替えるのは現実的ではない、そんなときに「減築」という選択肢はいかがでしょうか?
例えば、2階建ての2階部分をそっくり撤去することで、建物の重さが軽くなり、耐震面でも有効に働きます。
リノベーション事例3選
リノベーション事例その1:築48年戸建てリノベーション


この事例では、外観の印象が大きく変化していますが、既存の構造躯体を活かしているため、家の大きさ自体は変わっていません。ただし、窓の位置や大きさは変更されています。これは、あらかじめ耐震診断をおこない、耐力壁(地震や風などの水平方向の力に抵抗する壁)を多く配置しているためです。サッシの開口部を壁にすることで、家の耐力は飛躍的に向上します。


戸建てのリノベーションをする上で、階段の位置を変えると間取りは大きく変わります。プランを考える際には、階段の位置も気にしてみると良いでしょう。
また、リノベーションをするにあたって、どの部分を重要視するか明確にしておくことが大切です。これは予算にも直結します。構造躯体だけを残し、基礎の補強工事をおこなうと、おおよそ坪単価が80~120万円が目安になるでしょう。
リノベーション事例その2:基礎および構造躯体の耐震補強工事











上記の耐震補強工事をおこなえば、ほとんど新築と変わらない強度まで引き上げることが可能です。ただし、一つだけ新築と異なる点を挙げるとすれば、それは「基礎」です。
昭和56年5月31日以前の建物は旧耐震基準に基づいて建てられており、耐震構造の考え方が現在とは異なっていました。その一例が「無筋の基礎」です。旧耐震基準の建物の基礎には、コンクリートの中に鉄筋が入っていないものがあります。鉄筋が入っていないとコンクリートの粘り(しなやかさ)がなく、クラック(ひび割れ)が起こりやすくなります。

基礎の補強工事をすることで、これから先もまた20年、30年と安心して暮らせる住宅に生まれ変わります。
リノベーション事例その3:「再建築不可の2階建てを減築リノベーション」

こちらの住宅は再建築不可の土地に建つ、築50年以上の2階建てでした。同居していた親御さんが他界され、ご夫婦二人だけの暮らしになったことで、リノベーションを決意。「耐震性」「断熱性」「太陽光発電による節電」をご要望され、持て余していた2階部分を撤去することで、それらを叶えることに成功しました。

周辺一帯が再建築不可の土地のため、今後、高い建物が建つ可能性は少なく、太陽光発電をするには最適な環境といえます。まさにデメリットをメリットに変えた発想でした。平屋の陸屋根(傾斜のない平らな屋根)にすることで、太陽光パネルを載せられる面積を最大限に拡張し、発電量を引き上げることに成功しました。
減築について詳しくはこちらもご覧ください。
まとめ
戸建てリノベーションをおこなう動機は様々ですが、まずは「叶えたい暮らし」を深く掘り下げることが重要です。それに応じた最適な提案や施工が、理想の住まいを実現するために求められます。
株式会社アースでは、お客様一人ひとりのご要望に合わせた戸建てリノベーションのご相談を承っています。住まいについてのお悩みや「こんな暮らしがしたい」という想いがありましたら、ぜひお気軽にお問い合わせください。


