不動産市場の新たな常識「ホームステージング白書2025」発表
一般社団法人日本ホームステージング協会は、日本におけるホームステージングの実態をまとめた「ホームステージング白書2025」を発表しました。この調査は、全国の不動産関連会社、賃貸オーナー、ホームステージング事業者などを対象に実施され、357件の回答が集計されています。
2025年の調査から見えてきたのは、ホームステージングが単に「物件の見栄えを良くすること」にとどまらず、物件の価値を伝え、価格を守り、成約を後押しするための「マーケティング投資」へとその価値を広げているということです。

同協会では、今後は「ホームステージングを実施するか、しないか」だけではなく、「どの物件に、何のために、いくら投資し、どの手法を選ぶのか」という「投資対効果」の視点がより重要になると考えています。
「ホームステージング白書2025」の詳細はこちらからご覧いただけます。
ホームステージング白書2025
売買では73.2%が成約期間短縮!「見せる費用」から「販売への投資」へ
不動産の売買において、ホームステージングを導入した物件は、未実施の類似物件と比較して成約までの期間が短縮される傾向にあります。調査によると、「1カ月以上短縮」が19.0%、「1カ月未満短縮」が54.2%となり、合計73.2%もの物件で成約期間が短縮されたと回答がありました。

不動産事業者がホームステージングを導入する主な理由としては、「内覧時の印象を良くしたい」が43.5%と最も多く、次いで「競合他社との差別化」が38.1%、「売値・賃料を高く(維持)したい」が27.0%、「成約までの期間を短縮したい」が24.8%と続いています。

不動産取引では、ホームステージングの導入費用だけでなく、販売期間が長期化することによるコストや価格改定のリスク、競合物件との差別化まで含めて考える必要があります。ホームステージングを「いくらかかるか」だけで判断するのではなく、実施することで販売期間や価格維持にどのような効果が期待できるのか、販売成果まで含めて費用対効果を捉えることが重要です。
賃料アップでも78.0%が成約!2024年調査から17.4ポイント上昇
賃貸物件においても、ホームステージングは大きな効果を発揮しています。調査によると、ホームステージング導入によって賃料を「5%以上値上げできた」が18.8%、「1~4%値上げできた」が59.2%となり、合計78.0%もの物件が賃料を上げても成約に至ったと回答しました。これは2024年の調査結果(60.6%)から17.4ポイントの大幅な上昇です。

賃貸物件のホームステージング費用は、「家賃1カ月分」が35.4%、「家賃1.5カ月分」が42.6%と、この2つで78.0%を占めています。売買とは異なり、賃貸では入居者の入れ替わりに伴って再募集が発生し、その都度ホームステージングが必要になるケースもあります。そのため、1回の募集にかかる費用だけでなく、継続的な運用コストも考慮することが大切です。

賃貸物件でホームステージングを導入するタイミングとしては、「家賃を下げる前の最後の手段として」が47.1%と最も多く、2024年の35.6%から11.5ポイント上昇しました。この結果から、賃貸物件におけるホームステージングが、空室が続いた際に家賃を下げる前に物件の魅力を高め、現在の家賃で成約を目指す選択肢として活用されていることがうかがえます。

バーチャルステージングが前年比16.8ポイント上昇!「手法を選ぶ」時代へ
2025年の特徴的な変化として、バーチャルステージングの利用拡大が挙げられます。賃貸で「バーチャルステージングを実施」と回答した割合は40.8%に達し、2024年の24.0%から16.8ポイント上昇しました。これは「自社で家具・小物を用意して実施」(48.4%)に次ぐ実施方法となっています。

バーチャルホームステージングを導入する理由としては、「閲覧数アップ」(43.5%)、「業務負荷が下がる」(34.5%)、「イメージの自由度が高い」(26.9%)、「納品スピードが速い」(16.6%)、「低価格」(15.2%)などが挙げられています。コストや手間を抑えながらスピーディーに導入できる手軽さが、選ばれる理由の一つと言えるでしょう。

ホームステージングには、実際に家具や小物で設えるリアルステージング、小物を中心とした簡易ステージング、自社実施、専門業者への依頼など、様々な選択肢があります。今後は「どの方法が優れているか」ではなく、「この物件には何が適しているか」を見極め、物件価格や賃料、ターゲット、空室期間、期待する効果などを踏まえ、限られたコストの中で最適な手法を選択することがより重要になると考えられます。
2026・2027年のキーワードは「投資対効果」
2025年は不動産を取り巻く「価格」の上昇が目立った一年でした。家賃が上昇すれば、借り手は「その家賃を払う価値がある物件か」という判断をより慎重に行うでしょう。貸し手側には、単に家賃を設定するだけでなく、その価格に見合う暮らしや物件価値をどう伝えるかという視点が求められます。
このような市場背景の中、同協会では2026・2027年、ホームステージングが「実施するかどうか」を検討する段階から、「どの物件に、どの手法で、どこまでコストをかけるか」を判断する段階へ進んでいくと見ています。
不動産を「取得する」だけでなく、取得した物件の価値をどう維持・向上させ、売却や賃貸の成果につなげていくかという視点も、今後さらに重要になるでしょう。ホームステージングは、物件の「見栄えをよくするための費用」ではなく、物件価値を市場に伝えるための「マーケティング投資」として、その効果とコストを考える時代へと変化しています。
まとめ
ホームステージングは、不動産の売買や賃貸において、物件の魅力を最大限に引き出し、成約期間の短縮や賃料アップに貢献する有効な手段です。特に価格上昇が続く不動産市場では、単なる「空間演出」にとどまらず、「投資対効果」を意識した戦略的な活用が求められています。
これから物件の売却や賃貸を考えている方は、ホームステージングの導入を検討してみてはいかがでしょうか。物件の価値を正しく伝え、より良い条件での取引を目指すために、ぜひ「ホームステージング白書2025」を参考に、ご自身の物件に合った最適な方法を見つけてみてください。


